中期経営計画の在り方、策定方法、実践方法についてご説明致します。

PDCAサイクルを常に回し続ける

執筆:田中繁明(OAGコンサルティング代表取締役社長)

リーマンショック以降、経営者の皆さまは非常に厳しい経営環境の中で日々戦われていることと存じます。先行きの読めない不安定な景気が続き、どのように明日を迎えればいいのか、常に試行錯誤されているのではないでしょうか。

しかし、経済は停滞しても、経営に停滞は許されません。活路を見出すためには、間違いのない中期経営計画を作り、それを確実に実行することが何よりも重要になってきます。そこで今回は、中期経営計画の在り方、策定方法、実践方法についてご説明致します。



■経営とは経営サイクルの継続

経営は「Plan(計画)→Do(行動)→Check(点検)→Act(改善)」の絶えざる繰り返しです。このPDCAサイクル(経営サイクル)を日々回し続けていくことが、時代や環境の変化に迅速に対応できる企業の最低条件といえるでしょう。実際に、経営サイクルを的確に回転させているだけでも、大抵の困難は乗り越えられるものです。

ただ、経営の目的は経営サイクルを回すことではありません。経営とは、将来たどり着きたい目標を設定して、その目標に到達する最善の計画を立案し、実行することです。この目標達成のためのアクションプラン(道筋)が、果たして正しいのかどうか。

それを常に検証し、必要があれば躊躇せずに修正することが必要です。この検討・決定、実行、成果の確認・検討・改善という一連の流れが経営サイクルであり、経営サイクルの回転速度を高め、正しい方向に回し続けることが経営の要諦といえるでしょう。

■中期経営計画の前提は、予想財務諸表

中期経営計画は、単なるスローガンではありません。戦略・戦術を徹底的に考え抜いて、「こうしたらこんな状態になる」という見通しを明確にすることが必要です。そして、その目的・目標を会社全体で共有しなければなりません。

共有化するために最も有効な方法は、「数値化」することです。数値化によって、誰にでも分かる具体的なイメージに転換する=「見える化」することが最も大切なのです。

企業とは、環境適応業といえるでしょう。現在うまくいっている事業も、周囲の環境が少し変わっただけで、大きな影響を受けてしまいます。絶えまなく変化する流れの先を読みながら、自社の経営資源を見極めて、事業分野や業態を決め、その戦略をとった場合にはどのような利益計画が描けるのかを真剣に考えなければなりません。

漠然と「いくら儲かりそうだ」ではなく、きちんとした財務諸表にまで落としこんで、いろいろな条件を当てはめながらシミュレーションを行う必要があります。近年では、計画損益計算書(PL)だけでなく、計画貸借対照表(BS)・計画キャッシュ・フロー計算書(CF)まで用意して、戦略を検討することが一般的です。

成長がほとんど止まった成熟経済や縮小経済の下では、個々の企業が適切な成長戦略を描くことは、極めて難しいといえるでしょう。経営環境の激変にうろたえないためにも、借り入れに過度に依存しない、自己資本充実型の経営がより重要になってきます。

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